最近、人狼ゲームやワードウルフといった議論ゲームをする機会が多く、その中で感じたことをつらつらと書き連ねていこうと思います。といっても、表題の通りですが、ここ最近本当にありがたいことに、色々なコミュニティで色々な方々とプレイをする機会が多くて、その中で『ガチ勢』と『エンジョイ勢』のいがみ合いにたまに接してもやもやすることがあり、いい加減その無意味な議論をやめない?と思ったのでそれについて自分の意見をお話しさせていただきます。
- 言葉の定義なしに議論をすることの恐ろしさ
- プレイスタイルから『ガチ勢』『エンジョイ勢』を考える
- 結論、『ガチ勢』『エンジョイ勢』とはただのカラーの違いにすぎない
- 『ガチ勢』が『エンジョイ勢』を傷つけないためにはどうしたらいいか
- 『エンジョイ勢』が『ガチ勢』と楽しくゲームするために知っておいたほうがいいこと
- 最後に
言葉の定義なしに議論をすることの恐ろしさ
まず、私がこの議論やいがみ合いに触れるたびに「またか…」と辟易すると同時に、ほとんどの場面で「言葉を定義すること」が欠けているのではないかと感じます。そして、それこそがこの議論を面倒で不毛なものにさせているのではないかと。
言葉の定義とはめちゃくちゃざっくりいうと、「その言葉が指し示す事象について、その範囲をどこからどこまでか」のことを指しています。そして、こと人狼ゲームの『ガチ・エンジョイ論』の議論するうえで双方が「どういう意図をもってその言葉を使用しているか」を確認しあうことが欠けているんじゃないかと思うことが多いのです。
そして、私が感じるもやもや感の正体もおそらくここにあると感じました。お互いに「言葉の定義」を確認していないからこそ、相手の意図が分からないまま自分の物差しで話し続け、お互いに話が嚙み合わず不要な口論が生まれ、誰かが傷ついたり、やりづらくなったりしてるんじゃないかなあと思うのです。
だから、まずは話を聞いていて私が感じる『ガチ勢』『エンジョイ勢』の定義について、プレイスタイルと嗜好性の2つの側面から整理してみて、それを元に皆が楽しく遊べるために、どんな心がけをしてゲームをしたらいいかをまとめてみます。
プレイスタイルから『ガチ勢』『エンジョイ勢』を考える
まず、『ガチ勢』『エンジョイ勢』ってそもそも定義のない言葉だと思うので、プレイスタイルと、その背景にある嗜好性をもとに分類しますね。私は人狼ゲームを始めとした一人で完結しないゲーム*1において、プレイスタイルって大きく分けて以下の3つに分けられると思っています。
- Green Player(楽しさ重視)
このタイプのプレイヤーはめちゃくちゃざっくり言うと、人狼ゲームにおいて「プレイすることそのものに楽しい経験を求めるプレイヤー」のことを指しています。Green Playerに属する人々は「ゲームの勝敗」や「ゲーム内での立ち回り」以上に「ゲーム内での雑談」とか「自分に起きた物事そのもの」を楽しみたいと思っている傾向が高い気がします。(もちろんGreen Playerの中でも「何に楽しみを感じるか」については人それぞれですが)
ここで、一点勘違いをしないでほしいなと思うのが、このタイプのプレイヤーはその言動に戦術的なリターンにこだわらない傾向は高いものの、メリット/デメリットの判断が甘いとか、勝つ気が全くないとかそういうプレイヤーではないということです。ただただ、シンプルに「勝つこと」よりも「楽しい経験」を重視していて、その結果自分が負けたとしてもその結果にそこまで拘らないというだけなのです。
いわゆる『エンジョイ勢』や人狼ゲームを始めたての『初心者』といわれる人達はこの傾向が高いんじゃないかなと個人的に思っています。
- Blue Player(斬新さ重視)
このタイプのプレイヤーは人狼ゲームにおいて、「自己表現や発想力・想像力を重視し、それらを発揮することに喜びを感じるプレイヤー」のことを指しています。そのため、セオリーよりも新しい戦略・戦術や、一見不利だと思われる進行をとり、その中で戦略・戦術をブラッシュアップすることに喜びを感じる「開拓者気質」の高い人達がここに属していると思います。
この手のプレイヤーは変わった打ち手や戦術を作れる展開や、それについて試行錯誤することを好み、要約するとみんなに「アッと驚かせたい」という欲求が比較的強いプレイヤーが多い印象です。
注意点として、そのスタイルは個性的なことが多いものの、必ずしも意表をかいたり裏をついているわけでも、悪意を持って仲間を困惑させたいというわけでもないのです。あくまで自分がこれまで開拓してきた打ち手が本当に通用するのか確かめたいといった考えや、その戦術を使用して勝つことで皆を驚かせたいというもので、勝利に自分がどれだけ貢献できるかという欲求が比較的高いプレイヤーだといえるでしょう。
彼らはどのような空気感、レベル感の村であっても「この打ち手が使えるかな」といった発想でゲームをプレイし、その結果をもとに改善点を分析して、懲りずに新しい手を打ち続けます。
以上のようにBlue Playerは「斬新さ」を常に追求し、それが自身の楽しみの最重要項目となっている人々です。
多分私もこれが一番近いかなと思ってます。
- Black Player(結果重視)
そして、3つ目の分類が人狼ゲームにおいていわゆる『ガチ勢』といわれることが多い結果重視のプレイヤーたちです。ただ、もちろん彼らもそういった側面だけを持つプレイヤーというわけではありません。Black Playerは困難の解決や挑戦、自身の能力の証明、利害に対する強い意識を持っているプレイヤーです。
より早くより高くより正確にといったプレイングスキルの求められる進行を好み、常に「最適解を突き詰めていくこと」そして、「最適解を実証・再現し続けること」に重きを置いている人達といえます。
今よりも良いものがあれば他の何よりも重視して取り入れたいと感じ、その択によって発生しうる利害にとても敏感なのです。彼らが常に求めている最終目標はいわゆる「ゲームにおける勝利」であり、途中経過の体験よりも自身の判断や行動・努力によって得られる「勝利という結果」にこそ楽しみを感じます。
しかし、いわゆるカジュアルなプレイヤーがBlackに位置しないわけではありません。例えば、自身の能力を誇示し最適解に辿り着くことができれば、勝利以外の要素もBlack Playerの楽しみになり得るからです。
結論、『ガチ勢』『エンジョイ勢』とはただのカラーの違いにすぎない
いかがでしょうか?
今これを読んでいるあなたにもある程度当てはまる部分があるのではないかと思います。何度もいいますが、上記の分類も明確に何か一つが絶対的であるというわけではありません。
それこそ、一見相反しているように見える「GreenかつBlack」といった2つの要素を持っているプレイヤーだって存在しますし、その日の気分や同村する相手によって何を重視するかが変わることもあります。
要するに、大切なのは「楽しみ方の種類ってプレイヤーの数だけあることを理解し、一緒に遊んでる人全員が楽しめる進め方が何か互いに考えるという意識」を皆で共有しながら進めることだと思うのです。
そんなこと言われても「抽象的過ぎてわかんねーよ!」って話だと思うので、ここから『ガチ勢』寄りの人にあるといいなと思う心構えと、『エンジョイ勢』寄りの人が意識したらいいんじゃないかなと思うことについて、お話ししようと思います。
『ガチ勢』が『エンジョイ勢』を傷つけないためにはどうしたらいいか
まずは、『ガチ勢』のあなた。人狼ゲームが大好きなあなたは、人狼ゲームに関しての最適解を理解しています。そして、それは裏を返せば最適ではない解や方法論についても知識があるということですよね?その一方で、『エンジョイ勢』に属する相手は最適解を知らない上に、「最適解を知りたいと思っていない」ことが往々にしてあります。
ここで大事なのは、あなたがそういった相手があなたと遊ぶ理由は「あなたの知識を自分にも教えてほしい」ではなく「あなたと遊びたいから」であるということを理解することです。
これは言い換えれば、相手の脳内にある相手の「楽しさ」という花畑を相手の許可なしに、あなたにとっての「楽しさ」=「最適解」という農薬を無理矢理撒くというやり方は全くオススメできないということです。たとえそれがあなたなりの善意だとしてもです。
あなた自身の嗜好性が『世界に一つだけの花』であるように、それは相手にとっても同様で、なにも「人狼ゲームでNo.1になりたい」わけではなく、「オンリーワンなプレイがしたい」とか「ゲームをもとに会話をして仲良くなれたらそれで良い」とかそれぞれの基準があって、それで満足しているのです。
もちろん効率的なプレイをしない相手に効率的な方法を理解してほしいという気持ちは私にも十分理解できます。しかし、そういった場合でもあくまで「聞かれたら答える」に留まった方が良いのです。
そして、意識的なところで言うと、勝利以外のところにあなたの持ち合わせている「目的意識」を向けてあげるとよいでしょう。例えば「初心者の○○さんを助けてあげるプレイをして勝利を味わわせてあげる」や「自分が常日頃から行っているスーパープレイを披露する」などです。そして、『それどうやってるの!?』と聞いてもらうことができるか挑戦するのもまた一興と言えるかもしれません。
少なくともそういった考えを持つことで、あなたの説明や説得の仕方も変化し、負の感情を抱くことが減りますし、自分の意見を通すというスキルにおいて、より高次のレベルに到達でき、あなたの「最適解」を見つける助けになることもあるかもしれません。
また、相手はあなたに合わせることができませんが、あなたは人狼ゲームに慣れ親しんでいるので、相手に合わせることができるはずです。そして、あなたが初心者の頃を思い返してみたら、自分にすごく優しく接してくれた上級者の方が必ずいらっしゃったはずです。たまには肩の力を抜いて最適解以外を試してみるのもいい気分転換になるかもしれません。もしかしたら、今あなたの目の前にいる『エンジョイ勢』のお相手も『未来のガチ勢』かもしれせんよ。
『エンジョイ勢』が『ガチ勢』と楽しくゲームするために知っておいたほうがいいこと
『エンジョイ勢』のあなたは多くの場合、『ガチ勢』の人達並みのモチベーションや技術を持ち合わせていないことでしょう。そのため、相手に合わせるということが難しく、申し訳なさや不満を感じて、それがストレスになり「なんだか人狼ゲーム楽しくなくなってきたなぁ」と思う機会もあることでしょう。
一方で『ガチ勢』の人からすると、「どの程度の実力があるのか」「人狼ゲームのどの部分に楽しさを感じているのか」といった点について、ゲーム中に読み取ることが難しいと感じていることも案外多かったりします。それどころか、どうしたらあなたに楽しんでもらえるか思い悩んでいるということすらあり得るでしょう。
たとえあなたが『一緒に遊んでいるだけで満足』と思っていたとしても、相手はそれを知らないか、あるいはそれをただの社交辞令だと思ってしまうこともあるでしょう。
本心が分からないからこそ、相手はとりあえず自分が楽しいと思っている「最適解を押し付ける」プレイをしたり、極端にあなたに合わせにいこうとして、結果あなたを困らせたりしまうといったことが起きていることもあるかもしれません。
これを回避するために、あなたは普段から人狼ゲームをする上で『嬉しいこと』『嫌なこと』を明確にしておき、実際にあなたが他の人と遊ぶことが決まったら、勇気を出して『嬉しいこと』『嫌なこと』を伝えてみるとよいでしょう。例えば、「なんでも指示されるのは嫌」とか「強い口調で話されると嫌」とか「ゲーム外の雑談をしながら進めるのが好き」とか本当になんでも良いです。
伝えた相手にはもしかしたら変な人だと思われるかもしれませんが、そもそも自分が楽しくないプレイを押し付けられて、せっかくのゲーム体験を台無しにされて人狼ゲームを楽しめなくなるよりは良いでしょう。それに、善良な『ガチ勢』の人達はあなたの考えに配慮してゲームを進めてくれることでしょう。
私は別に『ガチ勢』に合わせる必要はないと思いますし、自分のスキルやモチベーションが達していないことに罪悪感を感じる必要はないと思っています。だって、所詮はゲームですし、自分が楽しめるやり方を貫くのが一番だと思うからです。
自分より詳しくて弁も立つであろう『ガチ勢』に対して自分の考えを言うのが怖いなと思うこともあるでしょう。それは重々承知です。でも、自分が楽しむを最優先して萎縮しないで人狼ゲームを楽しんでほしいなぁと私は思っています。
最後に
人狼ゲームについてつらつらと思いを書かせていただきましたが、ここまで読んでくださった皆さんはどんなカラーのプレイヤーであれ、『ガチ勢』であれ『エンジョイ勢』であれ、それ以前に「人狼ゲームを愛する仲間同士である」はずです。
好きなものが同じ人同士でいがみ合いをしたり、言い争いになってしまう状況が私はすごく悲しいと思っています。
また、そもそも人狼ゲームって一緒にプレイしてくれる相手がいて初めて楽しめるものですよね。当たり前ですが、まずはそのことをきちんと認識して、相手に感謝の気持ちを忘れないこと、相手の楽しみ方を尊重することが『ガチ』とか『エンジョイ』とか『楽しみ重視』『斬新さ重視』『結果重視』とか以前に大切なことだと思っています。
これを書いている自分も読んでくれた皆さんも、より相手のことを考えてプレイできるようになったら今やってる人狼ゲームがもっと楽しいものになるんじゃないかなぁと思っています。
私も至らない点は多々ありますが、こんなことを考えながら人狼ゲームをしているので、これからも一緒にプレイしてもらえると嬉しいです!よろしくお願いします!
かしこ
*1:『一人で完結しないゲーム』とは協力型であれ対戦型であれ、目的達成する上で「他者とのコミュニケーション」を要するゲームのことをこの記事では指しています。