創作
夏がもうまもなく終わろうとしている九月の夜、ひどく蒸し暑く小雨が降る中、クーラーが壊れたから涼ませてよ、とお酒と花火を持ったひなが僕の部屋へとやってきた。 彼女はクーラーの真下に座り扇風機の首振りを自分のところで止めて、持ってきた缶チューハ…
「あの、よろしくおねがいします」 小さくお辞儀をした彼女が少し緊張していたのを覚えている。大学の後輩で、誰かにくっついて、知らない人ばかりの僕らの飲み会にきてくれた子だった。ちょうど今くらいの花粉が飛び始めたころのことで、当時の僕も今みたい…
新しい恋には新しい恋人がいて、その年の冬に僕がほんの数日だけした勘違いにも、その勘違いと同じくらい甘酸っぱくて眩しい人がいた。 クリスマスにほど近い十二月の金曜日、デートクラブで手慰みに買った女の子は僕が指定した通りの制服を着て現れて、ウリ…